物理的宇宙

物理学を自分なりに再構成することを目指すブログです

熱2形式とシンプレクティック形式との類似性

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2形式のエネルギー収支

最大エントロピー過程のエネルギー収支の式

dE=TdS+\sum_iP_idX_i

を外微分すると

0=dT\wedge dS+\sum_idP_i\wedge dX_i

となる。左辺の0はループ曲線の過程において一周した後エネルギーが増加しない(同じ状態なので自明だが)ということを意味する。右辺の各項をループで囲まれた部分の領域で積分すると、ストークスの定理からそれぞれの形でのエネルギーの収支が計算できる。

熱2形式とシンプレクティック形式

\omega_{H}\equiv dT\wedge dS=d\theta_Hを熱2形式と呼ぶ。これはハミルトニアンのパラメーターの変換とは無関係なのでそれの下で不変である。

\omega_H=\sum_idX_i\wedge dP_i

なのでこれがシンプレクティック形式で、X,Pがダルブー座標であるかのように見える。

だが、i=1,2,...nのnが偶数のとき多様体の次元が偶数ではないので、少なくともシンプレクティック多様体でない場合がある。けれども、シンプレクティック多様体との類似性を確認していくことにする。

正準1形式

もう一度

dE=TdS+\sum_iP_idX_i

に戻り、正準1形式θを

\theta=dE-TdS=\sum_iP_idX_i

と定義すると、確かに

-d\theta=\sum_idX_i\wedge dP_i=\omega_H

である。

シンプレクティックポテンシャルと熱1形式

また、\thetaだけでなく、-\theta_H-d(-\theta_H)=\omega_Hなのでシンプレクティックポテンシャルであるように見える。

以後、アインシュタインの縮約記法を用いて、

\omega_H=dX^i\wedge dP_i

と書くことにする。