ブラとケットの対応関係
もしベクトル空間が有限次元なら、その元と双対空間の元(双対ベクトル)が全単射で対応させられる。無限次元なら、との濃度が一致するとは限らないので、対応関係が付けられない可能性がある。量子論では、ベクトルと双対ベクトルの対応関係をつけられるように、双対ベクトルの範囲を限定する。ブラとケットの記法では、この対応がつけられる双対ベクトルだけを考える。
この対応関係を記号で表す。とが対応関係にあるとき、
と表記することにする。このような対応を共役という。は全単射の対応関係を表すから、逆写像がそれ自身となる写像である。つまり
とする。このような写像を対合という。
また、ブラケット内の記号が同じものは対応関係にあるということを約束する。
について以下の関係を仮定する。
-
つまりは反線形写像である。
- 、等号成立はが0ベクトルである場合、かつその場合に限る
エルミート共役
線形演算子に対してもこの共役関係を定義する。任意の状態に対する共役演算子の作用を定めれば良い。
ここで演算子がブラにもケットにも作用できることを利用している。
性質
【証明】
①(準備中)
②定義から
両辺の共役をとると
よってとすれば
③
④
共役関係と内積
定義
ブラとケットの間の共役を定義することで、ベクトルに内積(,)を定義することができる。