留数定理と留数
を用いて、この点を反時計回りで回る周回積分Cを考える。
z^nの積分はn=-1以外0であり、n=-1の場合は2πiであるから
である。当然、もしcを反時計回りにN周(時計回りは負の回数の反時計回りと考える)するなら、積分の値は
である。
によって、積分の値が計算できることがわかった。この値を留数といい、
と表す。
ところが、もしc以外にも孤立特異点があれば、それについても同じ計算をすることで、両方の特異点をを含むような周回軌道を考えると、矛盾するように思われる。
そこで、ローラン展開
はcの他に孤立特異点を含まないような領域でのみ成立すると考えなければならないだろう。
そう考えれば、周回軌道の中に入っている特異点の分だけ留数を足していけば矛盾がない。これが留数定理と呼ばれる定理である。
留数を求める公式1
留数定理により、孤立特異点を持つ複素関数の周回積分は留数を求めれば計算できるということがわかった。留数の求めかたは、単純にローラン展開を求める方法の他に、特異点がm位の極である場合、つまりローラン展開の主要部が-mまでしかなく
...①
と表せる場合の公式を用いる方法がある。
は、テイラー展開の形で書けることを用いる。ローラン展開の式をn=N-mと変数変換すると、
であることがわかる。テイラー展開のN番目の項はN階微分係数で表せる。N=m-1についての係数が留数だから
だが、厳密には、z=cにおいてローラン展開①は発散しているため、定義されていない。だから左辺はz=cではなくz→cの極限を計算するべきだ。
まとめると、
fのm位の極cの留数は
極の位数が思ったよりも高かった場合、この極限は発散してしまう。だから極がm=1,2,...の場合を順番に試していけば問題ない。
留数を求める公式2
P,Qは正則関数であり、Q(c)=0とする。Q'(c)がゼロでないなら
【証明】
公式1のm=1の場合から
最後の等号にを使った。