物理的宇宙

物理学を自分なりに再構成することを目指すブログです

絶対零度と基底状態、基底エネルギー

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絶対零度基底状態、基底エネルギーの関係について議論しました。

絶対零度の定義

絶対零度とは温度Tが0となる状態のことである。

絶対零度ならば基底エネルギー

系が絶対零度なら系のエネルギーは基底エネルギー(ハミルトニアンの最低エネルギー固有値)と一致する。

【証明】

系が絶対零度の点では、

\frac{\partial S(\hat{H},E)}{\partial E}=∞

である。

エントロピーのエネルギーに対する上に凸性から、そのような点はエネルギーの定義域の下端の1点以外はあり得ない。

故に絶対零度のときのエネルギーは基底エネルギーである。

絶対零度の状態

絶対零度においては、系のエネルギー期待値は基底エネルギーと一致することがわかった。

基底状態がエネルギーについて縮退していないのなら、その系の状態は基底状態の純粋状態であるしかない。従ってエントロピーは0である。

もし縮退しているなら、基底エネルギーのハミルトニアンの固有空間における最大エントロピー状態が熱力学的状態である。これは

\hat{\rho}=\sum_{\hat{P}\in(基底状態)}  \frac{1}{N}\hat{P}

と書くことができる。ここでNは縮退度である。このときのエントロピー

S_{th}=S_{VN}=k_B\ln N

である。絶対零度におけるエントロピーは必ずしも0ではないということがわかる。

絶対零度の存在

絶対零度は必ず存在するか?という問題、つまり、基底エネルギーならば必ず絶対零度であるということついては、よくわかりません。基底状態が縮退していない場合は成立しているような気もしますが、そうではい場合は微妙かもしれません。数学的な考察が必要だと考えられます。